ビジネスマンがキャリアアップを目指すために経営学全般を身につけるための選択肢として、しばしば比較の対象となる中小企業診断士とMBA(Master of Business Administration=経営学修士)。
ここでは、これらの2つにどんな違いがあるのかを比較検討していきます。
学ぶ内容は共通部分が多い
中小企業診断士とMBAで学ぶことのできる内容は共通している部分が多く、経営戦略や財務・会計、マーケティング、組織・人事など経営・ビジネス全般に関して理解を深めていくことになります。
ただし、中小企業診断士はその名の通り、中小企業を対象としたコンサル能力の習得を目的としているため、経営知識を広く浅く学ぶことが求められます。
一方で、MBAはビジネスの当時者としての能力向上を図る目的で、経営戦略の立案や意思決定、マネジメントなどを重点的に学ぶといった違いはあります。
資格か学位か
中小企業診断士は国家資格であるのに対し、MBAは経営学大学院を修了した際に与えられる学位であるという違いがあります。
ただし、中小企業診断士は資格といっても、特に独占業務があるというわけでもありません。
したがって、経営全般に対する知識を持つことを対外的に示すことができるという点においては同等なので、資格か学位かという比較にはあまり意味はないかもしれません。
受験者層の違い
中小企業診断士には受験資格は無いため、幅広い層の方々が受験されますが、主たる受験者としては40代~60代が半数を占め、いわゆる自己啓発目的や、定年後に何かしてみたいと考える方々が多いようです。
一方、MBA の受験者層は20代~30代の将来の経営幹部候補や転職でキャリアアップを狙う層が中心です。
また、世界的に暗黙のルールとして「社会人経験3年(5年以上を推奨)」という受験資格も存在します。
取得にかかる期間とコスト
中小企業診断士試験は、1年に一回の国家試験であるため、合格までの期間には個人差があります。
一般的に1年~3年程度で合格する方が多くを占めます。
また、取得費用は学習スタイルにもよりますが、最も一般的に通信講座を使った方法であれば、10万円~30万円程度です。
対してMBAは、そもそも最初にMBAを受験して合格する必要があり、そのための勉強が必要となります。
MBAの受験対策講座を提供している機関は少ないのですが、オンライン通信講座あれば中小企業診断士講座でも実績のあるアガルートアカデミーが対策カリキュラムを開講しています。
そして入学後は国内であれば、1年~2年程度の通学が必要です。
取得費用は200万円~400万円程度かかります。
まとめ
ここまで見てきた中小企業診断士とMBAの違いをまとめると以下の通りとなります。
比較項目 | 中小企業診断士 | MBA |
取得内容 | 国家資格 | 経営学学位 |
目的 | 経営コンサルタント能力の認定 | 経営幹部の養成 |
受験資格 | 無し | 社会人経験3年以上 |
学習領域 | 広い | 深い |
学習スタイル | 働きながらの独学や通信講座が主体 | 通学で学習に専念(全日制) |
学習期間 | 1 年~3年が中心 | 1年~2年(通常は2年) |
取得費用 | 10万円~30万円程度 | 200万円~400万円程度(国内の場合) |
一覧で見てもやはり、なんといっても費用面の違いは圧倒的です。
また、入試に通った上で通学が必須のMBAに対して中小企業診断士であれば通信講座で自分のライフスタイルに合わせた学習が可能である点も取得のハードルという意味では大きな差です。
経営全般の知識を身につけ、キャリアアップを図るという目的であれば、いろいろ意味で中小企業診断士のコスパの良さは光るといってもいいかもしれませんね!